着付けを学ぼうと考えた時、基本は?と疑問に思われることが多いのではないでしょうか?
着付けを習おうとするとき、最初に知っておきたいのは
- 着物や帯の各箇所の名称
- 使う物の名称
です。
どこの部分を説明されているのか分からないと、説明自体が頭に入りません。
洋服で使う時とは若干意味が違う言葉もあります。着物に関する言葉として初めて耳にする言葉も出てまいります。
覚える言葉の数は多くはありませんので、難しそうだとか先入観を持たずに覚えてしまうのが得策です。
次に手順を知る、覚えるという順にするのが良いです。
ここでは、女性の着物や帯の各部の名称のうち、着付けをするにあたり覚えたいものをご紹介してから、必要な物について触れさせていただき、普段の着付け、正装、礼装の着付けの基本について解説します。
こちらの記事の筆者
着物の着付の基本
着物各部の名称について
- えり肩あき
和服を仕立てる際に衿をつけるために生地の片山の位置に入れた切込みのこと、首周りの部分、またはその寸法 - ゆき
背中心から袖口までの長さ。 - 肩幅と袖幅を足した寸法
- 肩幅
背中心から袖つけまでの寸法 - 袖幅
袖つけから袖口までの寸法 - 袖丈
袖の長さ - 身八つ口(みやつぐち)
脇の見頃の開いている部分 - 振り
袖つけから下の開いている部分 - 共衿(ともえり)
着物と同じ生地で衿の上にもう一枚かけた衿 - えり下
えりつけの終わったところから、つま先までの長さ - おくみ
前身頃につけ足して縫われた半幅の布 - つま先
衿したと裾線の出会う角 - ふき
すそや袖口の裏布を表から見えるように少し出して仕立てる部分 - 背縫い
身頃の背中心の縫い目 - 裾回し(はっかけ)
あわせの着物(裏付きの着物)の腰下につける裏地
八掛け(はっかけ)とも言う。
普段着の着付けの基本(女性)
着付けの技術の基本として最初に覚えたいのが浴衣の着付けです。
もし、何らかの都合で着物の着付けから習い始めたいのであれば、少しだけハードルが上がりますが、急がずにまずは長襦袢まで、次に着物まで、最後は帯までというように一つ一つ進んだ方が確実です。
特に長襦袢の着付けは、長襦袢までで、着姿の美しさ、シルエットが決まってしまうので大切です。
普段着の着付けの基本として、
- 必要な物
- 普段着の着物の種類
- 普段着に合わせる帯
- 普段着の着付けの手順
をご説明します。
普段着の着物の着付に必要な物
- 着物(紬、または小紋)
- 帯(名古屋帯、または洒落袋帯)
- 長襦袢(半衿をつけたもの)
- 帯締め、帯揚げ
- 腰紐3本~5本
- 伊達締め2本
- 帯枕
- 帯板
- 衿芯
- 場合によってコーリンベルト
- 下着の着物スリップ(肌襦袢と裾除けも可)
- 足袋
- 補整用タオル
必要な物については別記事「【着物の着付け必要なもの】ない場合の代用可能なものも紹介」で詳しく解説しています。
おおまかに普段着と呼ばれている着物を説明します。
中には柄によって格付けが上がるなど例外的な物もありますが、一度には頭に入りません。着物を楽しむうちに徐々に覚えていただけたらと思います。
普段着の着物の種類
- 紬
先に糸を染めてから反物にした織物。先染めの着物と呼ばれる。普段着~お洒落着として着用 - 小紋
一般的には模様が全体的にあり、模様に上下(天地という)の向きや身頃の柄合わせが無い着物。豊富な色柄がある。
普段着の着物に合わせる帯は、一般的には名古屋帯、洒落袋帯が多いです。
名古屋帯には仕立て方の違いから九寸名古屋と八寸名古屋という分類をすることもあります。
ここでは着付ける時に知っておいたほうが良い、柄付けによる3つの分け方で帯について解説します。
普段着の着物に合わせる帯
- 全通柄
- 六通柄
- お太鼓柄
それでは一つずつ紹介していきます。
全通柄
帯一本全部を通して柄のある帯。通し柄とも言われる
六通柄
帯の垂れ先から、全体の六割に柄付けしたもので、他は無地になっている
手先に柄のあるものとないものがある
お太鼓柄
胴の表柄の見える部分と、お太鼓の中心にだけ柄をおいたもので、別名飛び柄とも言う
締める人の体型によって柄が上手く出ないことがある
着物の着付の手順
着物の着付の手順
- 足袋を履き、下着をつけ必要な補正をし、長襦袢を着る
- 着物を着る
- 帯を結ぶ(名古屋帯ではお太鼓結び、洒落袋帯では二重太鼓)
普段着の着付けの基本について説明しました。
詳しい着付け方については別記事で解説します。
正装の着付けの基本(女性)
普段着の着物を着られるなら、正装も着られるようになったら、結婚披露宴、お見合い、式典、パーティーなどへの出席にも着物を着ていくという選択肢が増えます。
正装は普段着とどう違うのでしょうか?
普段着と違う点がわかるように、
- 必要な物
- 正装の着物の種類
- 正装に合わせる帯
- 正装の着付けの手順
の順にご説明します。
正装の着物の着付けに必要なもののうち、着付小物は普段着とほぼ同じですが、着物の格が変わると合わせる帯の格も着物に合わせたものになります。
正装着物の着付けに必要な物のうち、普段着と違う部分を赤い文字にしました。
伊達衿はお祝いの場合、伊達衿を付けて衿を重ねることがあります。通常は紬等の普段着の着物にはつけません。
正装の着物の種類
- 訪問着
- 付下げ
- 色無地(着物はミス、ミセスの別なく正装として用いられる)
- 小振袖(ミスの場合)
※また、寒色系の色無地の着物は地紋を選べば慶弔いずれの場合でも着る事ができます。弔事の場合、帯、帯揚げ、帯締めを黒で統一して喪服の正装になります。
参考:男性の正装は羽織袴姿
正装には袋帯を合わせるのが一般的です。
普段着に合わせる名古屋帯との大きな違いは名古屋帯はお太鼓結びにするのに対し、袋帯(洒落袋帯も含む)は二重太鼓と呼ばれる帯結びをします。お太鼓部分が二重になります。
正装に合わせる袋帯について簡単にご説明します。
正装に合わせる帯
袋帯も名古屋帯でご説明したのと同様に柄付けにより、全通柄、六通柄、お太鼓柄に分けられます。写真は上にある、名古屋帯の物を参考になさってください。
袋帯について
- 袋帯という名前は表裏が輪になるよう袋状に織られていたためで、最近では袋状に織らず、表裏を縫い合わせたものが増えている
- 柄付けは六通が多い
- 素材は唐織、金襴、銀欄、糸錦、佐賀錦、綴れ(つづれ)などがある
- 初心者の方は素材については興味を持てた順に徐々に覚えていけば良い
洒落袋帯と言われる帯のうち、素材や模様によって訪問着、付下げ等に合わせるものもあります。
覚える事が増えると、肝心の着付けを習う前にうんざりするほどの情報量になります。
ここでは難しくせず、正装は袋帯と覚えていただきたく思います。
正装の着付の手順
- 足袋を履き、下着をつけ必要な補正をし、長襦袢を着る
- 着物を着る
- 帯を結ぶ(袋帯で二重太鼓)
正装の着物に伊達衿を付けて着付けたい時は、自分で着る時は特に、伊達衿を予めつけておきます。着物に縫っておいたり、ピンでとめたりして用います。
詳しくは別の記事で解説します。
礼装の着付けの基本(女性)
礼装、つまりフォーマルについて解説します。正装とはどう違うのでしょうか?
基本的な知識を身に付けて、TPOにより正しく使い分けたいですね。
ここでは女性の礼装の着付けについて初めての方でも知っておきたい基本を説明します。
礼装の着物の着付けについて、基本的となる
- 必要な物
- 礼装の着物の種類
- 礼装に合わせる帯
- 礼装の着付けの手順
の順にご説明いたします。
正装の着付に必要な物
着物(黒留袖・色留袖・振袖)、袋帯、長襦袢(半衿をつけたもの)、伊達衿(振袖の場合・省略する時もある)、帯締め、帯揚げ、末広(留袖の場合・帯の左胸に挿す扇子)
腰紐3本~5本、伊達締め2本、帯枕、帯板、衿芯、場合によってコーリンベルト、三重紐(振袖の場合)
下着の着物スリップ(肌襦袢と裾除けも可)、足袋、補整用タオル、綿花など
ミセスの礼装
黒留袖・色留袖
ミスの礼装
振袖・色留袖
※ 色留袖はミス、ミセス、どちらでも礼装として着られる
正装も礼装も、着物の着付けは大まかにご説明すると手順にほとんど差がありません。違いについては別記事で詳しくご説明します。
ここでは、明らかに違いがわかる点を加えて、基本中の基本を説明します。
礼装の着物の着付の手順
- 足袋を履き、下着をつけ必要な補正をし、長襦袢を着る
- 着物を着る
- 帯を結ぶ(袋帯で二重太鼓)
- 末広を左胸に挿す
振袖の着付の手順
- 足袋を履き、下着をつけ必要な補正をし、長襦袢を着せる
- 着物を着せる
- 帯を結ぶ(袋帯で変化結び)
- 帯締め・帯揚げなどを華やかに演出する
この記事では普段着、正装、礼装の着物の着付けの基本について、最低限知っておきたい事として
必要な物・着物の種類・合わせる帯・着付けの手順について説明しました。
必要な物、着付け方について詳しくは別の記事で解説します。
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