着物を着た経験はありますか?
その時、自分で着たのでしょうか?誰かに着付けて貰ったのでしょうか?
着物は好きでいつか着たいけど難しそう、面倒くさそうと思って敬遠していませんか?
現代社会では日常生活をするには洋服のほうが活動的でお手入れ等を考えても合理的です。
普段の生活には馴染んでいない着物、自分の身近に着ている人がいない着物、手に取りやすいとは感じられなくて当然です。
基本的な知識だけでも覚えられたらどうでしょう?人は知っている物のほうが身近に、そして難しくなく感じるものです。
着物に関する知識というと凄く膨大な量の情報があるように感じますが、時代が違えば子どもでも毎日着ていた着物ですから、覚える事は意外と少ないのです。
一度向き合ってみると、それに気付く事ができます。
実は、皆さんはもっと難しいスキルを使ってすでに仕事や勉強をしているのです。
この記事では自分で着る時の着物の着付けについて解説していきます。
この記事を読んで、ざっと知識を身に付けていただく、あるいは、実際に着付けに挑戦してみていただくと、着物の着付けが身近に感じられます。
勘が良い方なら自分で着て楽しむ事まで出来る可能性があります。
ぜひ読み進めてみてくださいね。
着物を自分で着るための準備
着物を自分で着るための準備について説明します。
着付の準備
- 風通しを行う
- 半衿付けを行う
- 小物類の準備
このような準備が必要です。
では順番に解説していきます。
風通しを行う
着物は虫干しと言って、風を通すことで、湿気によるカビの発生や虫くい、シミの広がり、色やけを防ぎます。
草履も同様に湿気の無い日に風を通しておく方が長持ちするようです。
それとは別に、しまってあった着物をお出かけで着たい時、風を通すつもりで早めにチェックしておく事をお勧めします。
しまってあった着物の場合、縫い糸が弱っていたり、思わぬ所にシワやシミが出来ている時もあります。
当日、慌てないように早めにチェックして、できる対応はしておきたいですね。
半襟付けを行う
着る事にきめた着物に合わせる長襦袢に半衿を付けずにしまってある事もあるかと思います。
また、着物に合わせて半衿を付け替えたい時もあります。
半衿付けは縫い付ける場合、意外と時間がかかります。
早めに用意し、余裕を持って縫っておく方が当日や前日に慌てません。
コーディネートを決めたら、半衿も確認して付けておきます。
簡単に付ける応急処置的な付け方もありますが、ここでは基本的な準備を解説させていただき、別の機会に記事にしたいと思います。
小物類の準備
着物を着るためには、着物、帯、長襦袢、帯締め、帯揚げの他に、着付小物とまとめて呼んでいる小物の準備が必要です。
着付けに必要な小物は、腰紐3~5本、伊達締め2本、帯枕、帯板、衿芯、場合によってはコーリンベルト等です。他にも下着の着物スリップ(又は肌襦袢と裾除け)、足袋、補整用タオルも必要になります。
振袖等を購入した場合等、セットになっている事があります。
また大手着付け教室に申込みした場合等は、一般に市販されている小物とは違う、工夫された小物がセットになっている事もあります。
着物の着付けの流れ【動画で解説】
慣れれば簡単な着付けですが、最初は耳慣れない言葉もあり、難しく感じるかもしれません。
ここでは、少しずつ着付けに使う言葉に慣れていただくためにも動画を使って着付けの流れを説明していきます。
着物の着付けの流れ
着物の着付けの流れは以下のようになります。
- STEP1:肌着を着て補正する
- STEP2:長襦袢を着る
- STEP3:着物を着る
- STEP4:帯を締める
では、一つずつ解説します。
着付けSTEP1:肌着を着て補正をする
- まず最初に足袋を履きます。
- 次に着物スリップを着ます。または、着物スリップではなく、裾除け、肌襦袢を身につけます。
着物スリップは紐が一本の物、左右二か所で紐を結ぶタイプの物があります。
裾除け、肌襦袢の順に身につけます。 - 補正をします。
自分で着易いようにした補正着の市販品もありますが、万人向けの補正はないので、
良く分からないうちは購入せずに、タオルで補正しても着ずらい事はありません。
着付けSTEP2:長襦袢を着る
- 長襦袢を羽織り、左右の袖に両手を通します。
- 背縫いが背中の中心に来ている事を確認し衿を合わせます。
- 片手で合わせた衿を押さえ、もう片方の手で紐を取り、胸紐をかけます。紐は前から後へ、後で左右持ち換えて前に戻し、2回絡げて交差し、紐の余りは胴に巻いた紐に挟んでおきます。
- 伊達締めを締めます。伊達締めは前から当て、後で左右持ち替えて前に戻し、2回絡げて交差し、余りは胴に巻いた伊達締めに挟み込みます。
- 伊達締めを締めたら長襦袢は着上がりです。
着付けSTEP3:着物を着る
- 着物を羽織り左右の袖に両手を通します。
長襦袢の袖を軽く持つと一緒に袖に収められます。 - 裾合わせをし、腰紐を結びます。腰紐は前から当てて後で持ち替えて前まで持ってきて結びます。
- 腰紐をしたらシワを取り、おはしょり(着物の余った部分)をしっかり下ろします。
- 衿を合わせて胸紐をかけます。
胸紐をしたらシワを取り、身八つ口(脇の下の袖を縫わずに穴になっているところ)の始末をします。 - おはしょりを整えて伊達締めをします。
着付けSTEP4:帯を締める
- 手先の長さをはかります。
帯板は巻きながら入れるものと、
着物の着上がりで付けるゴム付きのものがあります。 - 帯を胴に2回巻きます。
ひと巻きめでしっかり締めてから、もうひと巻きします。 - 帯を結びます。
手先とたれを結び目で細くなるように持ち替え、たれが上になるように結びます。
慣れてくれば結ばずに、捻っても弛む心配はありません。 - 手先を前に預けておきます。
着付用クリップで留めると手早くできます。 - 結び目近くに遊びを取り、帯に帯枕を当てて背中につけ、お太鼓の山を作ります。
- 枕の紐を結び、帯揚げをかけます。
帯枕に予め帯揚げをかけておくと楽という方もいらっしゃいます。 - 仮紐でお太鼓の下線を作り、たれの長さを整えます。
仮紐は前でしっかり結んでおきます。 - 前に預けておいた手先をお太鼓の中へ、仮紐をつたうように入れます。
- お太鼓の中へ入れた手先を整え、押さえるように帯締めをします。
- 仮紐を外します。
帯締めで手先やたれを押さえているか、お太鼓の形が安定しているかを確認してから仮紐を外します。 - 帯揚げを綺麗に仕上げてお太鼓結びの完成です。
着物の着付けに必要なもの
着物の着付けに必要なものには何があるでしょうか?
着物、帯、長襦袢(半衿の付いた物)帯揚げ、帯締め、帯枕、帯板、腰紐3~5本、伊達締め2本、足袋、裾除け、肌襦袢、他にも下の画像にはありませんが、衿芯、体型により補正用にタオルや綿、ガーゼ等が必要になります。
着る時には姿見など全身を写す鏡、お出かけ時には草履も必要です。
着物の着付けに必要なものは「【着物の着付けに必要なもの】ない場合の代用可能なものも紹介」の記事で詳しく解説しています。
着付けに必要なものがない時には
レンタルができることがあれば、それを紹介する
着物を着たいと考えても必要なものが揃わない時、レンタルしている会社もあります。
殆どの会社が着物一式(必要な物はすべて)という形で提供しています。
会社によっては肌に直接身に付ける肌襦袢・裾除け・足袋もレンタルだったり、それは購入の形だったりします。
帯だけ、着物だけ借りたい場合は対応はその会社(ショップ)によりますので、個々のレンタル着物のショップのHPなどで確認が必要です。
着物を自分で着るためのポイント
ここでは着物を自分で着るためのポイントを解説していきます。
長襦袢は浴衣や着物と違い、つい丈と言って、おはしょりを取る程には長くありません。
裾合わせして裾丈を紐で止める必要はありません。
着物を着る場合は、長襦袢を着た上に重ねて着ます。半衿を付けた長襦袢を着物の下に着て、半衿部分は見えるように着物を着ます。
木綿の着物等は、浴衣同様に長襦袢を着ないで着る場合もあります。
着物に合わせる帯についても説明いたします。
着物の場合に合わせる帯は普段着なら浴衣帯以外の半幅帯や半幅に仕立てた小袋帯を使う時もありますが、着物の格に合わせて名古屋帯や袋帯を合わせます。
名古屋帯ではお太鼓結び、袋帯では二重太鼓に結ぶのが一般的です。
自分の着付けではありませんが、ご参考までに、着付けてもらう振袖に結んでもらう変化結びは袋帯を合わせています。
浴衣の着付けとの違い
着付けの基本である浴衣との大きな違いは、見た目には足袋を履くことと長襦袢という洋装の場合ならスリップとも言える下着が一枚加わることです。
とても綺麗な色・柄の物が多い長襦袢ですが、あくまでも下着なので、長襦袢では外を歩かない等の注意が必要です。
また、着物の場合は名古屋帯、袋帯といった幅の広い帯で帯枕を使って帯を結ぶことが大きな違いです。
着物や帯には染めや織り等の別や、柄付けでも格の違いがあり、格の違いで普段着から礼正装までTPOに合わせた装いができます。覚えると、生活に幅広く取り入れて楽しめるようになります。
浴衣については「浴衣 着付け 自分で」のページへ
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