男性の着物姿、お洒落で一度は来てみたい男性も多いはずです。
着物の着付けと聞くと、複雑な気がしていませんか?
女性の着物に比べて、男性の着物の着付けはいたってシンプルです。帯も幅が狭く、扱いが楽で、結び方も複雑なわけではありません。
ポイントを覚えてしまえば、スーツでネクタイを結ぶのと大して変わりがないように感じるはずです。
ここでは男性の着物について、基本的なポイントを押さえて、男性の着付けを身近な物に感じていただけるよう解説します。
男性の着付けの基本知識
男性の着付けについて基本的な知識を街でも見かけることのある女性の着付けと比べて説明します。
女性の着物は丈が長くおはしょりという部分をとるため、裾を上げて左右を合わせて腰紐を結ぶという、洋服に比べて複雑に感じる着付け方をします。
男性の着物は対丈にと言って、着る時に丈の調節をしなくて良いように身長に合わせて仕立てます。
その分、女性の着付けに比べて手順もシンプルなものになります。
男性の着付けの手順
男性の着付けの手順は
男性の着付の手順
- 肌着を着て足袋を履く
- 長襦袢を着る
- 着物を着る
- 帯を締める
になります。
ここでは、この手順に出てくる言葉も含めて一つずつ解説します。
肌着
着物の下着には肌襦袢と裾除けを着用します。
代用してシャツやステテコを使うことも可能で、着用も楽です。
ふんどし
褌は日本男性の伝統的な下着です。一般的なふんどしの種類は、越中ふんどしと六尺ふんどしの2タイプがあり、どちらも一枚の長い布を体に巻き付けて使用します。
男性が着物を着る場合、ふんどしから身に付ける方は現在はかなり少数派になっています。ここでは簡易的な越中ふんどしの場合の付け方をご参考までに説明します。
参考:越中ふんどしの付け方
- 越中ふんどしを広げ、両端の紐を両手で持つ
ふんどしを後ろに回し、紐を腰の位置にあてる - 超手に持った紐を体の前で結ぶ(結ぶ強さは好みで加減)
後ろにたれ下がっている前だれを股間を通して前に出し、結んだ紐の下を通す
前だれは両手で上に引っ張りあげる、前だれは両手で上に引っ張りあげる - 引き上げた前垂れをそのまま前にたらし、形を整える
肌襦袢
上半身には肌襦袢を着ます。肌襦袢は素肌に直接身に付けます。
肌襦袢は下前(右側の衿)を合わせてから、上前(左側の衿)を合わせます。
ステテコ
下半身はステテコをはきます。
男性は裾除けの代わりにステテコを使う方も多く、裾除けに比べて着用も楽です。
足袋
着物の着付けでは足袋をはいた後に下着を着るのが一般的です。これは下着の着崩れを防ぐ意味があります。
男性の着付けは着崩れを心配することもなく、肌襦袢やステテコを身につけてから足袋をはきます。
長襦袢
補整をしない場合はすぐに長襦袢を着ます。
女性の長襦袢同様、半衿を縫い付けて着用します。
着物
長襦袢の上に重ねて着物を着ます。
女性の着付けと違い、男性の着物は長襦袢の着付けと同様に着物を着ます。
男性の着付けのポイント
男性の着付けは女性の着付けに比べ、複雑ではないです。補整については礼装・正装の場合以外は気になさらない方も多いです。
気を付けた方が良い一番のポイントは女性の着物の着付けではおはしょりがあるのに、男性の着付けではおはしょりがないため、衿が崩れやすいことです。
また、袴を着用する場合には腰当てをして補整をした方が場合もあります。
この気を付けた良いポイントとなる箇所の問題解決となるよう工夫された着付小物が市販されていますので、ここでご紹介、ご説明します。
衿止め
男性はおはしょりをとらずに着付けすること、また、女性と違い帯も下のほうに結ぶことから長襦袢の衿がはだけやすくなります。そのため、長襦袢や半襦袢の衿の着崩れを防止するために衿どめというS字型のピンを使うことがあります。
衿どめを使って上前と下前の衿をとめておくことで、着物の衿が多少乱れても気になりません。
一つあると便利な小物です。
コーリン腰紐
男性用の着付小物として、最近では男性用着物ベルトが市販されています。商品名として違う名前のものもあるかと思います。女性用のコーリンベルトと腰紐に使うゴムベルトを合体させたような形です。
上前の衿を金具で止めて、ベルトを腰に回して止めるものです。衿どめ同様に、男性の衿の乱れを防止する目的のものになります。無くても着られますが、衿がはだけてしまう方には試してみる価値があると思います。
腰パット
男性のボディ補整で、すべての着付けに腰の補整が必要というわけではありませんが、羽織袴を着付ける場合に、袴の腰板を安定させる目的で腰に補整をすることがあります。
腰に補整が必要な時、自分で着る場合は腰パットもあると便利です。腰パットは男性用、女性用と分けて市販されているものは今のところ見かけません。
男性の着付けに必要なもの
男性が着物を着る時、必要な着物アイテムについて解説します。
肌襦袢
肌襦袢は素肌の上に着るので、吸水性や肌触りが良く、丈夫なものが良いです。
肌襦袢の代わりにシャツも着用できますが、衿から見えないようVネックのシャツを使います。
ステテコ
裾除けは女性の肌着の場合と同様、腰に巻いて使います。
男性の場合、着脱が楽にできるステテコもおすすめです。羽二重やキュプラなど裾裁きの良いものが着易いです。
長襦袢
着物の下に着るものを長襦袢といいます。反物で購入して仕立てるものから、仕立て上がりで市販されているものがあります。また、長襦袢の上半身だけの半襦袢もあり、普段着や袴の時に着用されることがあります。上の画像にあるのが半襦袢です。
長襦袢の素材は木綿、絹、ポリエステル、モスリン、麻などがあり、色柄もいろいろあります。
礼装用は白が正式で、巡礼そうでは紺やグレーを使うこともあります。お洒落着のアクセントには縞柄や小紋柄のものもあるので、用意があるとコーディネートの楽しみが増えます。
半衿について
長襦袢には礼装用には白、お洒落着には色の半衿を縫い付けて着ます。半衿が着物の襟の汚れを防ぎます。
半衿に使う生地は正絹か塩瀬が一般的ですが、お手入れが楽なのはポリエステル素材のものです。
腰紐
男女を問わず、着物の着付けは腰紐を使って着付けます。
男性用の腰紐はモスリン、博多織の素材があり、幅5~6㎝で、普通サイズの物と長尺の物が市販されています。
着物
丈の長い着物のことを長着ということもありますが、普通は着物といいます。
男性の場合は袴をつけて正装となります。また、袴や羽織を着ない、長着と帯だけの着方を「着流し」といいます。
男締め
長襦袢や長着を着るときに、腰ひもを締めて衿を止めます。長襦袢で1本、着物で1本の2本を使います。腰紐よりもやや幅の広い細帯状のものを女性の伊達締めに対して男性用を「男締め」と呼びます。しっかり締めるのに適しています。
腰紐、男締め、どちらをどう使うなどの決まりはないので、好みに合う物を選んで使って間違いではないようです。
帯
男性の帯には角帯と兵児帯があります。まとめて「男帯」と呼びます。
角帯は普段用から礼装まで幅広く締めることができます。素材は紬、博多織、綴織、綾織などがあります。
兵児帯は柔らかい生地で出来ている扱帯で、羽二重や縮緬、紬などがあります。カジュアルに装う帯なので正式の席には向きません。
羽織
羽織は長着の上に着るもので、着丈は一定していません。
きものと羽織が同じ色柄の生地で作ったものをアンサンブル、あるいはお対の着物と呼びます。
また、袷仕立て羽織の裏地を「羽裏」と呼び、隠れた羽裏に趣向を凝らしたものを用いてお洒落をするようになったのは江戸時代の奢侈禁止令以降です。
羽織紐
羽織は前身頃が広くなく、胸元を紐などを結んでとめます。
礼装用は白ですが、お洒落着用には目的な着物、帯に合わせて装いのポイントとなるもので楽しむことができます。
組みひもだけで作られる羽織紐や石などをアクセントにした羽織紐などがありますので、イメージを変えてを楽しむことができます。上の画像は石などをアクセントにした羽織紐です。
足袋
和装に合わせる足袋は木綿やポリエステル、麻などの素材で縫われ「こはぜ」という金属の留め金具がついています。
礼装やお茶席などの改まった席には白足袋を用意しますが、それ以外は色足袋を合わせます。
色足袋は黒や紺、茶、グリーン、グレー等の無地のものもありますが、柄の付いた足袋もあります。足袋は男性の着物姿のアクセントにもなります。
履物
洋服の場合と同様、お洒落を楽しむなら足元からしたいものです。
男性の履物には大きく分けて草履と下駄があります。
草履の中で、エナメルなどの台のついているものが草履、パナマや竹の皮、藤などを重ねてあるものが雪駄です。そこに皮を貼ってありフォーマルに使えます。
礼装用には白い鼻緒の草履で白い足袋を合わせるという決まりがあります。
下駄は浴衣や着流し、袴などカジュアルな装いに合わせます。
まとめ
男性の着付けは女性の着付けに比べ、シンプルで覚えやすい着付けと言えます。
着物の丈が対丈であることから、使う着付け小物も少ないのです。
また、男性の帯は女性の帯に比べ、幅が細く、扱いやすい帯で、結び方も複雑ではないです。
逆にシンプルな着付けでおはしょりがない分、衿合わせが乱れやすいので要注意ポイントです。
着付け小物の助けを借りたりすることも出来ますので、必要を感じたら揃えておくと良いですね。
ポイントを押さえられれば自分で着ることも、人に着付けることも難しくありません。
着付けを身に付けることで、日常着に取り入れることも可能になります。
ぜひ、男性にも着物を楽しんでいただきたいと思います。
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